インフラ投資、農村対策、医療サービス強化
ただ、消費の面からの景気刺激策は、景気浮揚力としてはやや弱い。通年目標の達成には、即効性という点も含め、投資の拡大が不可欠である。さらに、それを実現させるためには財源をどうするのかという点も重要なポイントである。
この点に関して、6月29日に行われた国務院常務会議で具体的な政策が打ち出されている。ポイントは3つあるが、その主旨はおよそ以下の通り。
1つ目はインフラ投資の加速について。プロジェクトの実施、予算、債券発行などの計画を前倒しで実行、さらに、新たに3000億元規模の金融債を発行して、プロジェクトの資本を増強しようとしている。国家が実施するインフラ投資計画などは、数年に及ぶ大プロジェクトが多い。実行速度を上げることで、下期のインフラ投資規模を引き上げようとしている。
2つ目は農村の総合経済対策。“以工代賑”といったユニークな方法が大規模に活用される。“以工代賑”とは、政府が農村地区での高速道路建設、水運、水利建設といったインフラ投資を実施する際、その地方の労働者を使い、投資金額の一定比率を労働報酬に充てることを義務付けて実施する政策である。もちろん、当局がプロジェクトの進捗を細かく管理し、規定通りに行われているか厳しく監督管理する。投資規模だけでなく、農民工の就業機会、所得を確保するといった意図がある。
3つ目は医療サービスの強化。臨床研究の水準を引き上げ、その成果をできるだけ早く実際の医療サービスに反映させられるように、テストと称して、プロジェクト単位で既存の制度の枠を超えて、大胆に進捗を速める──。