ビジネスパーソンにとって、新たな出会いが期待できる異業種交流会。社内だけでなく社外の人と交流することで、自分の視野を広げるきっかけになるし、本業や副業にもプラスに働く人脈を広げるきっかけになるだろう。もちろん、有益な出会いもあるだろうが、中には期待していた出会いがなかったばかりか、参加を後悔したという人もいるようだ。「異業種交流会にはもう行かない」という人たちに、話を聞いた。
人脈を持っているアピールをする人たち
IT企業に勤務する30代男性・Aさんは、大学時代の友人の誘いから一度だけ異業種交流会に参加したことがある。きっかけは友人の言葉だった。
「20代半ばくらいの時、大学時代にイベントサークルに入っていた友人から『社内人脈だけでは思考がガラパゴス化する』『社外のコミュニティにも顔を出し、人脈を作れば世界が広がる』などと熱く語られたんです。当時はそういうものなのかなと思い、軽い気持ちで参加しました」
50~60人規模の異業種交流会に参加し、そこでさまざまな人に出会ったという。
「友人は水を得た魚のように、いろいろな人と名刺交換していました。僕はといえば、起業や独立したばかりの人、税理士や行政書士などといった士業の人、保険や投資用マンションの営業の人、ネットワークビジネスっぽい感じの人、よくわからない○○コンサルタントという肩書の人に出会いましたが、『何か困ってることありませんか?』みたいに、仕事をほしがる人ばかり。僕からは何も得られないとわかると、あっという間に目の前から去っていきました(笑)」(Aさん)
Aさんが特にがっかりしたのは、自分の職業や経歴、スキルといった話ではなく、「自分は人脈を持っているアピール」するタイプの人だったという。
「『○○(超大手企業)の部長クラスと仲良くてね』と、その人の名刺を見せてきた人には驚きました。他にも大手企業の方の名刺をズラリと見せられ、もはやカードバトルの“最強デッキ”を見ているよう。自分と繋がるといいことがあるよ、というアピールなんでしょうけど、結局、人脈って交流会などで無理やり作るものではなくて、仕事をしているなかでつながっていくものが理想だなと思いました。そもそも僕に、『こういう人と繋がりたい』という目的意識がなかったから、得るものもなかっただけですが、良い社会勉強ができたと思っています」(Aさん)