元海上自衛官・倉津貞志さん(32歳)が、7月21日に『手取り14万円からの生活防衛FIRE』(飛鳥新社)を上梓し、話題になっている。元自衛官がいかにして資産4億円(不動産含む)を達成することができたのか。インタビュー前編では過酷な防衛大学校の生活や自衛隊員の金銭事情について聞いたが、今回は毎月の節約で貯めたお金を元手に資産を増やしていった投資の手法や、退職後の生活について話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む】
──そもそもお金のことを勉強しようと思ったきっかけはなんですか?
倉津:2010年ごろでしょうか。防衛大学校の2年生のとき、自衛隊現役幹部の話を聞く集会がありました。そこである幕僚長が言った言葉が僕の人生を変えるきっかけになりました。幕僚長は私たち学生に向かって開口一番「自衛官は、お金持ちになれません」と。幕僚長といえば、自衛官のなかでも頂点に位置する役職です。その上の統合幕僚長を合わせても、約24万7000人いる自衛官のなかでも4人しかなれない地位。聞くと、その幕僚長の年収が「(当時)約1900万円」。十分すごいじゃないかと思う人も多いでしょうが、厳しい任務や訓練に耐え、壮絶な出世競争を勝ち抜いた結果がその数字だと思うと、お金の「現実」「限界」を突きつけられた気持ちになりました。
海上自衛官になれば、一年の半分は海の上で、平均睡眠時間は4時間という生活。心身を壊さず無事に定年までいられる保証もありませんし、そもそも定年も早いんです。自衛官の多くは50代半ばで退職をします。
そこで、「なんとかして自分で蓄えを作らないといけない」「お金と生活を守る方法を考えよう」と思ったのです。
──具体的にどのような投資を行なってきたのでしょうか。
倉津:防衛大学校のころから勉強を続けた知識を使って、自衛官になって株やFXなどの投資を始めました。お小遣い程度の入金額でしたが、ほとんど利益は出すことはできませんでした。大きく勝つには、経済や企業情報などの専門知識が必要であり、取引のための時間や手間もかかりますからね。仕事の拘束時間の長い自分には合わない投資法だと判断しました。そんななか出会ったのが、不動産投資です。
──不動産投資を選んだ理由は?
倉津:一定以上の知識を身につければ、成功の再現性が高いと感じたからです。一度物件を購入してしまえば、株やFXのように値動きに細かく気を配る必要もなく、毎月家賃が入ってきます。投資計画や見通しを立てやすいですし、これなら自衛官としても行える投資だと思いました。公務員の副業は禁止ですが「家業の手伝い・講演や執筆活動・(不動産投資を含む)投資」はOK。資産形成にはもってこいだと感じました。