ここでスマートな読者のみなさまは不思議に思われたかもしれません。たとえば国内株式は20年間で2.2倍になっていますが、50年間保有すると25倍になっています。20年間と50年間で、お金の増え方にかなり差がありますよね? その謎解きは、複利効果にあります。
金融庁のサイトでも紹介されていますが(上図)、投資期間が長いと複利効果が大きくなるので、50年保有しているとびっくりするほどお金が増えるということになるのです。
【分散投資】値動きの異なる資産を丸ごと買う
長期投資の運用結果を見ると、海外株式の運用成績がいちばんよいので、海外株式だけに投資をしていればいいんじゃないかと思ってしまいます。ただし、この結果は、長く運用した結果であって、年によっては、国内株式がいちばん成績がよかったり、国内債券がいちばん成績がよかったりとランダムで、それらはおおむね値動きが異なります。分散投資の王道は、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券の4資産に均等に分散することです。実際、われらが年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)でも、これら4資産均等法を採用しています。
値動きが異なる資産を組み合わせて投資をすることで、リターンは平均になりますが、リスク(値動きの振れ幅)は平均より小さくすることができます。高いリターンを狙える海外株式だけを持っていると、ときには大きく値下がりして、それに耐えられなくなり長期投資を断念してしまうかもしれません。そんなときにほかの資産を持っていれば、海外株式の下げを緩和してくれます。そういう意味でも、心臓に毛が生えるほど強くないわたしたち普通の人は、値動きの違う資産をまるっと全部買って、リスクを和らげるほうがよいでしょう。