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高齢者が「車の運転に必要な能力」を鍛える30の方法 認知症予防にも効果的

運転に必要な能力を鍛えるための30の方法【その2】

運転に必要な能力を鍛えるための30の方法【その2】

視空間認知機能、近時記憶、見当識などを鍛えるトレーニング

 浦上医師は、「運動」「知的活動」「コミュニケーション」の3要素を取り入れた「とっとり方式認知症予防プログラム」を開発し、認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の認知機能を改善した実績を持つ。

 そのプログラムを応用し、安全運転を長く続けるための認知症予防法を記したのが別掲表だ。

 たとえば空間の全体的なイメージを把握する「視空間認知機能」が衰えると、車間距離を一定に保てなくなったり、ラインに沿って駐車できないなどの影響が出る。

 この機能を鍛えるには、限られた空間に物を正しく配置するトレーニングが効果的だ。

「安全な場所でバックしながら車庫入れする練習をすれば、車体の位置を空間的に把握できます。車を使わなくても、ガーデニングや本棚の片づけなど日常の動作で視空間認知機能を鍛えられます」(浦上医師・以下同)

 情報を覚えたのち、いったん別のことに意識を向け、数分から数日経ってから思い出す「近時記憶」は、アルツハイマー型認知症の最初期に衰える機能だ。運転面では、出発前にキーが見つからなかったり、大きな駐車場で車を駐めた位置が思い出せないといったトラブルが生じる。

 近時記憶を鍛えるには、意識的に情報を記憶して、のちに思い出すトレーニングが有効だ。

「ドライブ先で見たものや食べたものを覚えておき、帰宅してから思い出して家族に話してください。大きな駐車場の何番のマスにマイカーを駐めたかを覚えるよう努力することも効果的です」

 時間や場所の感覚、人間関係などを把握する「見当識」が衰えると、日時や場所の感覚が薄れ、日付や自分のいる場所が分からなくなる。さらに進行すると、家族や知り合いの顔や関係性が分からなくなってしまう。

「よく行く場所への道順を忘れる、ドライブ中に行き先が分からなくなるなど、運転にも大きな支障が出ます。カレンダーに予定を書いたり日記をつけるなど、日々の感覚や変化を意識することで見当識を鍛えられます」

 運転中は状況に応じて速度を変えたり、ハンドル操作を加減する必要がある。物事を正しく認識し、目的や条件に応じて必要なものを選択する「判断力」は、車の運転に欠かせない能力だ。

「買い物の際、いつも決まったものを選ぶのではなく、値段や機能、栄養価などを比較検討したり、早く会計できそうなレジを選ぶなど、日常のちょっとした心掛けで判断力を養えます」

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