依然厳しいコロナ禍に加えて、日中の酷暑や寝苦しい熱帯夜が続き、今年の夏はいつもより疲れがち。この猛暑を元気に乗り切るには、「休養」の意識改革が不可欠だ。「休養」のエキスパートが、正しい休養法をレクチャーする。【全4回の第2回。第1回から読む】
「日本リカバリー協会」代表理事で、「休養学」の第一人者である片野秀樹さんが推奨する休養法は、体内のエネルギーの増減を蓄電池にたとえた「休養サイクル」の実践だ。図をもとに、解説してもらおう。
「気力・体力が満ちた状態で家事や仕事などの活動(図【1】)を行うと、次第に活動能力が減退し、『休養の願望』が出て疲労状態になります(【2】)。そこで、睡眠を取るなどして休養します(【3】)。大抵のかたは『一晩寝てしっかり休養できた』と【1】の活動に戻ってしまいますが、疲れている人は、睡眠を取っただけではフル充電できていません」(片野さん・以下同)
このまま【1】~【3】を繰り返しても蓄電池の残量はなかなか増えず、消耗は進む。これが、疲れがたまるスパイラルだ。
「エネルギーがあり余っていた若い頃は別として、加齢とともに、この3サイクルで活動能力を増進させるのは難しくなってきます。そこで、休養の次に『活力』(【4】)を加え、フルに近いところまで充電する4サイクルで回してほしいのです」
この方法は、スポーツの分野で実践されている考え方に基づいている。
「疲れを回復させずにトレーニングを続けた結果、疲労が蓄積し、肝心のパフォーマンスが低下してしまう『オーバートレーニング症候群』に直面するアスリートがいます。そのため彼らがより高いパフォーマンスを発揮するために、いかにうまく休養し、活力を回復させるかが課題となっているのです」