7月27日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、0.75%の利上げが決定した。9月のFOMCでも政策金利の引き上げが予想されているが、はたして今後の為替相場を左右する、米国の利上げペースはどうなるのか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんがアメリカの利上げ見通しについて解説する。
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7月のFOMCはマーケットが予想していた通り0.75%の利上げを決定し、サプライズはなかったことから、株高、米ドル安、金利低下の動きを見せました。パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は9月の利上げ幅について、次のFOMCまで8週間あるため、その間のデータ次第になるとしています。また、将来的には利上げペースは鈍化させることに言及したため、市場の動きに影響した面もあるでしょう。
今回のFOMCについては、次の9月のFOMCまで日も空くため、議長の発言を注視していた投資家も多かったと思われます。もし政策金利が1.00%引き上げられていたら、株式市場は急落したかもしれません。結果的に市場にも、楽観ムードが広がったのではないでしょうか。
アメリカにはリセッション(景気後退)の懸念が浮上していましたが、パウエルFRB議長は「アメリカはリセッションにあると思っていない」と発言。9月のFOMCでもインフレ抑制のため、経済への影響も覚悟のうえで、利上げを続ける姿勢を示しているので、今後もアメリカのインフレに関わる経済指標には注視しておくべきでしょう。
金利先物市場の動向に目を向けると、今年の残り3回(9月、11月、12月)のFOMCで0.5%、0.25%、0.25%の利上げがコンセンサスとなっているようです。さらに来年には利下げに転じる可能性まで価格に織り込まれ始めています。もっとも、FRBが来年から政策金利を引き下げる見通しを明言しているわけではありません。その一方で、市場では早くも利下げへの期待が生まれつつあり、このギャップはどこかで収斂されていくでしょう。
為替相場の動向はどうでしょうか。米FRBとは対照的な日銀の緩和政策の影響もあり、ドル円のトレンドに変化はないと見ています。たとえ一時的に円高方向に振れたとしても、反発する可能性を念頭に置いておきたいところです。ただし、8月は円高になりやすいアノマリー(特定の期間に見られる値動きの傾向)もあるため、トレードには注意が必要です。
個人的な見通しとしては、ドル円が大幅に下落することは今のところ想定していないため、目先の下落があった場合、「押し目を作っている」と考えます。あとはチャートのサインを頼りに、淡々とエントリーしていけばよいでしょう。この取引スタイルは心理的な負担を抑えてトレードできることもメリットです。
FX取引は知識も大事ですが、それ以上に重要なのがリスク管理です。リスク管理を怠り無駄にレバレッジを高くしてトレードすれば、夜も眠れなくなるほどの不安に苛まれることもあるかもしれません。そのように心理的に追い込まれること自体が、すでに負けているとも捉えられます。冷静な状態でトレードを行えるルール作りがいかに重要か、わかっていただけるのではないでしょうか。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)