どんな人でも、亡くなったときには必ず「相続」が発生する。とはいえ、基本的に遺産総額が「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超えなければ、相続税はかからない。例えば、法定相続人が妻と子供2人の計3人なら、4800万円までは非課税になる計算だ。
このように遺産総額を確かめれば、同時に相続税がかかるかどうかもわかるが、預貯金のように金額がはっきりしているものならともかく、不動産や車といった「時価」で評価される財産はどう判断すればよいだろうか。これも、事前に大体の評価額を把握しておくことは可能だ。
建物は、年1回送られてくる固定資産税の納付書で評価額を確認し、土地は国税庁のホームページに毎年7月1日に発表される路線価に面積をかければ、おおよその評価額がわかる。ベリーベスト法律事務所の弁護士・田渕朋子さんが説明する。
「不動産評価額は変わっていくため、最終的な相続税評価額は国税庁の評価に従うしかありませんが、遺産分割の時点では、不動産は時価で評価されます。より時価に近い額を出すには、固定資産税評価は時価の7割、路線価は8割といわれているので、それぞれ割り戻す方法もあります。ただしあくまでも、相続の準備のための目安として考えてほしい」
不動産会社で査定してもらうこともできるが、場合によっては、実際の評価額から大きく離れてしまうことも。
「不動産会社の査定には幅があるため、一義的に決まるものではありません。分割時にどうしても合意できなければ、家庭裁判所で鑑定を行うこともありますが、それには費用がかかります。
車も、中古車販売店の査定には幅がある。顧客から“低く査定してください”と言われて簡単に“0円です”と評価するようなところもあるようです。中古車販売業者のウェブサイトの中には、型式や走行距離、経過年数などに基づいて価格を公表しているものもあるので、こうした情報を参考にした方がいい場合もあります」(田渕さん)