いつか必ず発生する「相続」。だがわかっていても、そのための準備はおろそかになりがちだ。面倒だから、難しいからといって先送りにしたがために、後悔する人は少なくない。
まず検討すべきなのは、そもそも、相続すべきかどうか。「負の相続」がどれくらいあるか確かめておきたい。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが説明する。
「各種ローンの借入金、税金の未払金、個人的な借金のほか、本人に借金がなくても、知人の連帯保証人になっている場合なども負の相続に当たります」
そして、相続財産(預貯金だけでなく、不動産の評価額や保険、株式、車など)をすべて合算しても負の相続の方が大きくなりそうなら、相続を放棄するのも手だ。
相続放棄は亡くなってから3か月以内に判断しなければならない。
負の財産が少なく、相続すると決めたら、次は「法定相続人」を把握する必要がある。配偶者や子供だけでなく、孫、ひ孫、父母、祖父母、きょうだい、甥・姪なども該当するケースがあり、法で定められた優先順位がある。
「遺言書で指定されていない限り、民法で決められた優先順位に従って遺産を分配します。遺産分割協議は法定相続人全員で行う必要があるため、相続人を把握しなければ、相続手続きを始めることすらできません」(三原さん)
中には、離婚・再婚で先妻や後妻の子がいたり、認知した子や養子縁組をしていたりと「隠れた法定相続人」がいる場合もある。できるだけ早く、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をチェックしておくべきだ。
次に、おおよその遺産総額を確かめる。基本的に、遺産総額が「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」を超えなければ、相続税はかからない。
例えば、法定相続人が妻と子供2人の計3人なら、4800万円までは非課税になる計算だ。遺産総額を確かめれば、同時に相続税がかかるかどうかもわかるというわけだ。
※女性セブン2022年8月18・25日号