7月13日に世界経済フォーラムで発表された「ジェンダーギャップ報告書」で、日本は146か国中116位、先進国では最下位だった。だが、日本の男女格差がなかなか埋まらないなかでも、自ら会社を立ち上げて上場させるなどして多額の資産を持つ女性たちがいる。そうした令和の“女性富豪”たちの実像に迫った。【前後編の後編。前編から読む】
上場企業の決算書や大株主の情報などを分析・検索する企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」の協力を得て、2022年7月末時点の「女性大株主」を保有株の時価総額順に並べ、上位40人を表にまとめた。1位のファーストリテイリング・柳井正会長の妻、照代氏(73、保有額2571億円)、2位の楽天グループ・三木谷浩史会長の妻、晴子氏(55、同2049億円)など、有名企業の経営者の親族が名を連ねるなか、異彩を放つのが3位のパーソルホールディングス名誉会長・篠原欣子氏(87、同970億円)だ。
同社の前身である人材派遣会社テンプスタッフの創業者で、2017年には米経済誌『フォーブス』の一代で10億ドル以上の資産を築いた「叩き上げ女性長者」に日本人として初めてランク入りした。
「篠原さんは昭和末期に出てきた女性起業家の先駆け的な存在です。40年ほど前に取材した当時は女性である点ばかりに焦点が当たりがちでしたが、人脈が大きくモノを言う人材派遣業界にあって、女性社長という珍しさまで武器として上手に活かす経営者でした」(経済ジャーナリスト・福田俊之氏)
16位のディー・エヌ・エー代表取締役会長の南場智子氏(60、同471億円)は1999年に同社を創業。2015年からはプロ野球・横浜DeNAベイスターズのオーナーも務めている。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「南場氏は自社のサービスを世界基準にする野心が旺盛。自動運転や医療分野など幅広く投資し、孫正義氏や三木谷氏のようにプロ野球球団の買収も仕掛ける胆力の持ち主です」
南場氏は起業する前、米国の大手コンサル企業マッキンゼーに勤め、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得後は同社役員も務めた。
「近年は南場さんのほかにも海外の一流コンサル企業や金融企業で経験を積んだ国際感覚のある女性創業者たちが目立ちます。未だ役員クラスでは圧倒的に男性が多い日本企業のライバルたちとも対等に渡り合う実力としたたかさを、実力主義の外資系企業で磨いた女性たちです」(福田氏)
18位のビザスクCEOの端羽英子氏(44、同311億円)、22位のウォンテッドリーCEOの仲暁子氏(37、同237億円)はゴールドマン・サックス(GS)での勤務経験を持つ。