172億円を持つ「双子」
「億超えキャリアウーマン」でもランクインした26位のコーエーテクモHD代表取締役会長・襟川恵子氏(73、同207億円)は「投資の天才」という一面を持つ。
同社で1200億円もの巨額資産の運用を舵取りし、2021年3月期決算では393億円の経常利益のうち、149億円が株式等の売却益だった。
美大に通っていた若い頃から株式投資を始めたという襟川氏は、孫正義氏とも旧知の仲で、2021年6月からソフトバンクグループ初の社外取締役にも就任。同社の投資事業にも関わる。経済評論家の杉村富生氏が言う。
「襟川氏は日々のディーリングで利ざやをコンスタントにあげて毎期120億円から150億円の利益を出し続けている。相場観が研ぎ澄まされている非常な相場巧者だと言えます」
横浜銀行からコーエーに中途入社し、経理や出版部門などの役員を務めた伊藤通宏氏はこう言う。
「コーエーは創業以来、無借金経営を続けています。ゲームソフト販売が落ち込んでも借り入れをせずに経営が続けられるのは、恵子さんの株式投資の手腕があってこそ。そのコツなどを聞いたことはありませんが、彼女独特の能力だと思います」
最後に、唯一「双子」で29位と30位に入ったcoly(コリー)の中島瑞木・杏奈姉妹に注目したい。33歳にしてともに172億円の「株長者」に。日経「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2022」を受賞した起業家で、モバイルオンラインゲームの一ジャンルである「乙女ゲーム」をリリースして大ヒットを飛ばした。
株長者の女性は、夫を世界的経営者へと後押しした妻から、自ら経営し大企業へと成長させた敏腕起業家まで実に多彩だ。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2022年8月19・26日号