物事を人にわかりやすく説明する際、何かにたとえるとぐっと伝わりやすくなることもある。例えば、漫画やアニメ、ゲームのキャラクター、シーンや設定などもそうだろう。具体的にイメージしやすくなるので、プライベートだけでなく仕事の場でも、そうした手法を活用する人もいる。もちろん、同世代の人たちであれば、共通認識があるのでそれほど問題ないだろう。だが、その作品を知らない世代の社員からは「かえってわかりにくい……」という嘆きの声が漏れる──。
「お前はまだまだヤムチャだな」
IT業界に勤務する20代男性・Aさんは、40代の男性上司が頻繁に『ドラゴンボール』ネタを使うことに戸惑っている。
「上司は『ドラゴンボール』の大ファンで、やたら会話にキャラクターや設定を混ぜてくるんです。『あの案件はサイバイマンだろ。苦戦するなんてまだまだヤムチャだな』『急に成長したな。“精神と時の部屋”で修行でもしたのか?』『仕事の成長はスーパーサイヤ人に覚醒するのと同じ』など……。正直、何を言っているのかさっぱりわかりませんでした」(Aさん)
ここに出てきたキャラクターや言葉はいずれも『ドラゴンボール』に登場するもの。ちなみに「精神と時の部屋」の中で過ごす1年は、一般世界の1日に相当する。Aさんは、そういったたとえについて、わざわざ30代の先輩男性に解説してもらうことが多かったが、後に自身も『ドラゴンボール』を読んで学習したという。
「『○○でたとえてもらえますか?』と、自分の知っている作品名を挙げて反論した時期もありましたが、改善は見込めなかったので、読みました。もちろん自腹ですが、書籍代を経費で落として、読んだ時間は残業代として請求したいぐらいです(笑)。
上司がよく言うお気に入りのフレーズで、『仕事に追い詰められて強くなれるし、成長できる。死の淵から生還するサイヤ人と同じだ』というのがあるのですが、上司にとって『仕事=修行』という感じなのでしょうか。意味がわかったところで、ちょっとついていけません」(Aさん)