森口亮「まるわかり市況分析」

NASDAQは7月に12%超上昇 米国株の反転上昇は本物か、トレンド転換の行方を検証

上昇率が高かった「3つの日」

 まず6月24日です。この日は前日比3.34%上昇し、安値をつけた6月16日以降で2番目に大きい上昇率になっています。

 上昇のきっかけは、ミシガン大学消費者態度指数です。本来は消費の強さを測る経済指標ですが、この調査の中で発表される1年後と5年後の期待インフレ率の見通しが、速報値から低下したことで過度なインフレ懸念が後退、安心感から買いが続き、NASDAQの上昇率が前日比で3%を超えました。またこの日の上昇をもって株価日足チャート上では、終値が始値を上回る陽線が5日連続で発生(5陽連)。この形が安値圏で発生した場合は、株価の転換を示唆させるチャートパターンとして知られています。

 次に上昇率が大きかったのは、7月19日です。この日のNASDAQは前日比で3.11%と大きく上昇しています。上昇要因のきっかけになったのは、6月と同じくミシガン大学消費者態度指数による5年先の期待インフレ率が低下したことです。インフレへの過度な懸念が和らいだことが、大きな上昇につながりました。また、この日の上昇により、6月の安値を割らずに直近高値を超える、いわゆる「二番底」を形成し、底打ちのチャートパターンが完成しました。

 最後は、7月27日です。この日の上昇幅は4.06%と2022年の最大の上昇率となりました。上昇のきっかけは、FOMC後のパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長による発言です。会合後に記者会見したパウエル議長は、「金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれて、(金利)引き上げペースを緩めることが適切となる可能性が高い」と発言し、過度な引き締めによる景気後退への懸念が和らぎました。

 FOMCはここまでインフレを抑えることを金融政策における最優先課題としていたので、こちらも過度なインフレ懸念を和らげる印象を与える発言となり、株価が大きく上昇するきっかけとなりました。また、FOMC前日まで調整していた株価が二番底のサポートの目安となるネックライン付近から反転したことで、大底のチャートパターンが再確認できたうえ、短期的には高値を切り上げる上昇トレンドのチャートパターンも確認できています。

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