「期待先行型」に“結果”が伴ってくるか
以上、3つの上昇率が大きかった日の共通点には、「過度な懸念の後退」がきっかけとなっています。現状は「期待先行型の株価上昇」といえますが、転換の兆しとなる「5陽連」や大底と言われる「二番底」のチャートパターンの完成を経て、上昇トレンドの形が続いており、短期的には下落トレンドから転換し、上昇トレンドがスタートしている可能性が高いと株価チャートからは読み取れます。
とはいえ今後の市場を確認していく上で最も大切になることは、それらのサインに“結果”が伴ってくるかという点です。インフレ動向についてはやはり、FRBも重要視している金融政策の目安となるCPI(消費者物価指数)に注目すべきでしょう。
7月13日に発表となった6月CPIは、前年比9.1%増と依然として高く、インフレ局面が続いています。次回の7月CPIは8月10日の発表が予定されており、市場予想は前回と同じく9.1%増と、引き続きインフレ局面が予想されています。インフレが収まらない、もしくはインフレ率が加速するような結果が確認された場合は、現状が「期待先行型」の上昇であるがゆえに大きな下落の可能性も起こりうるでしょう。
また逆に結果としてのインフレ率の低下、物価安定が確認されれば、さらに力強い上昇に入る可能性もあります。
まだまだリスク要因が残る株式市場において、徐々にリスクを取りやすい株価トレンドに転換しつつあるものの、期待先行型であることは理解しておきたいところです。テールリスク(最悪の事態に)に備えるリスク管理はまだまだ必要といえるでしょう。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。