動画を長く鑑賞することが「辛い」と感じる若い世代が増えている。「映画館で2時間近く動画を見るのはきつい」、「倍速視聴に慣れてるので、通常再生だと見る気がしない」などの声も聞こえてくる。では、短尺動画や倍速視聴に慣れたZ世代の若者にとって、「90分間の大学講義」は、どう感じているのだろうか。そのリアルな声を探ってみた。
今年の春から大学に通っているAさん(19歳女性)は、90分間という講義時間に不満の色を隠せない。
「最近ではTikTokの流行だけでなく、YouTubeにもshorts動画機能が追加され、私たちの世代は短い動画を見る機会が圧倒的に増えています。私もそうですが、周りもアニメやドラマは必ず1.25倍か1.5倍速で見ていますし、20分もある動画を見ることすら、辛いと感じます。なので、大学の授業も、正直『早くオチを教えてよ』という気持ちになってしまう。オチがないなら、90分間も話を聞いていられない、コスパが悪いという気持ちになる」
90分が耐え難いという学生が増えているのを横目に、ここ最近では「100分授業」を導入する大学も増えている。これは、半期「90分15週」に設定されている授業時間を、「100分14週」に改編するというものだ。2017年から導入している明治大学を筆頭に、その後は法政大学、東海大学、上智大学、中央大学、立教大学などでも運用され、2023年からは早稲田大学でも導入される。
100分授業を実施する大学に通うBさん(19歳女性)は、こう話す。
「私はK-POPが好きなのですが、韓国のオーディション番組も初めに合格したグループを知ったうえで動画を見ます。そういう環境に慣れているので、大学の授業は長すぎます。映画ですら90分以上も座っているのが耐えられなくて見に行かないのに、倍速視聴も飛ばし見もできない講義で黙って座っていること自体が苦行です。
実際、大教室の講義だと冒頭で出席確認をしたあとは、授業中に友達と一緒に外に出て生協まで散歩したり、10分くらい教室の外で適当に話して、終わる頃にこっそり教室に戻る学生もいます。講義時間にイヤホンつけて字幕で“推し”の動画を見ている人もいます。“推し”の動画でもない限り、授業のような“長いコンテンツ”に耐えられないんです」