キャリア

大学受験「宅浪」を経て国立大学にトップ合格した女性が語る「宅浪成功の秘訣」

散歩など軽い運動を習慣化することもおすすめという(イメージ)

散歩など軽い運動を習慣化し、体力をつけることもおすすめ(イメージ)

宅浪のデメリット「びっくりするほど体力が…」

 経験者だからこそ感じた、宅浪のメリット・デメリットをあらためて聞いてみた。

「宅浪のメリットは、やはり金銭面と、他人の目を気にせず勉強できるということ。予備校では、切磋琢磨できればいいかもしれませんが、どうしても他人と自分を比べてしまい、それがストレスになることもあると思います。情報が多すぎるというか……。ついつい流されて遊んでしまうこともありそう。宅浪は、余計な不安に駆られることがなく、ただただ自分に足りない部分を集中的に学習できるというメリットはありますね」

 一方のデメリットだが、意外なところに隠れていた。Hさんが振り返る。

「宅浪のデメリットとして、体力の衰えがあります。私は勉強に専念するため、10月末にバイトを辞めて、11月以降はずっと家にこもって勉強する生活を送っていました。そうすると本当に体を動かさないので、気づかないうちに、びっくりするほど体力がなくなっていたんです。

 それに気づいたのは、本番前の練習として受けた私立受験の時。久しぶりに長時間電車に乗ったことで気分が悪くなり、新宿駅のトイレに籠もることになってしまったんです。その日から、本番の国立受験に向けて最低限の体力をつけておく必要性を感じ、夜の散歩を習慣化しました。家族とおしゃべりしながら散歩することで気分転換になり、体力もついて一石二鳥でした。宅浪の人は、散歩など軽い運動を習慣化するといいと思います」

実は本番1か月前の模試では散々な結果だった

 本番の時には体力にも自信がついて、自然体で受験にのぞめたというHさん。念願の一橋大学に合格することができたのだが、ただ合格したわけではなかった。同大学では毎年、学部ごとの合格最高点と合格最低点が発表されている。また、「入学試験成績情報提供」という制度で問い合わせをすれば自分の点数も判明するのだが、そこで知った自分の点数が、学部の合格最高点と一致していたのだ。つまり、多くの受験生たちの中でトップ合格を果たしたということになる。

 こうして宅浪で大学受験を成功させたHさんだが、その後の生活で、宅浪時代の経験が活かされていると感じることはあるのだろうか。

「まず、就活のエントリーシートや面接で話す際のネタになりました。就活では必ず、苦労して乗り越えた経験について聞かれます。その時、自分で計画を立てて実行していったことを話すことで、面接官に自己管理能力などをアピールすることができたと思います」

 役立っているのは就活だけではないという。Hさんは、生きる上での「自信」を手に入れたという。

「私の受験は、結果だけ見れば大成功に見えるかもしれません。でも実際は、模試の判定もずっとD判定かC判定でしたし、本番1か月前の模試でも散々な結果だったんです。

 それでも最後まで諦めないで、粘って、どうにかすることができた。もちろん、どんなことでもうまくいくわけではないと思いますが、『諦めないで粘り強く頑張ることができる』というのが、私の長所なんだな、と再確認できました。自分の意志で目標を立てて、それを追求していれば、結果はどうであろうと後悔は少ないと思います」

 多くの受験生が予備校という選択肢を選ぶなか、少数派の宅浪という道を選んだHさん。宅浪をしたことで得たものも大きかったようだ。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。