国税庁「酒のしおり」の統計によると、成人1人当たりの酒類消費数量は 1992 年度の 101.8リットルをピークに、2020年度には75.0リットルまで減少している。このように、“日本人のお酒離れ”が進む中、特に若者の日常的な飲酒が減っているようだ。
飲酒習慣(週3日以上)のある人は、50~60代男性が約半数を超えているのに対し、20代男性は14.5%。40~50代女性も20%超に飲酒習慣があるのに対し、20代女性は6.5%。上の世代からすれば“日本人のお酒離れ”の正体は“若者のお酒離れ”だと感じることだろう。ではなぜ若い世代はお酒を飲まないのだろうか。
最初から飲んでいないので“お酒離れ”したわけではない
都内の私立の大学に通う20代男子学生・Aさんは、“若者のお酒離れ”という表現に素朴な疑問を感じている。
「むしろなんでわざわざ“お酒離れ”が問題視みたいに言われるのかわかりません。飲んでる人は飲んでますし……。多様性をガンガン打ち出す世の中で、“○○離れ”とか、指摘されるのが不思議です。そもそも自分たちが元々たくさん飲んでいたわけでもないので、別に離れたわけでもない。
僕の場合、お酒は飲めますけど、誰かと一緒なら多少飲むっていう感じですね。1人当たりの飲む量が減っているというなら、逆に昔が飲みすぎてたんじゃないでしょうか。なんでもかんでも昔を基準にしないでほしいです」(Aさん)
Aさんは、お酒そのものは嫌いではないが、自発的に飲むほどものではないという。ネックになるのは、飲酒後の状態だそうだ。
「バイト先の社員が『仕事終わりの酒は格別にうまい』『飲まなきゃやってられない』とか言うんです。確かに汗をかいたあとのお酒はおいしいし、人と一緒に飲むお酒も楽しい。でも、飲みすぎて何もできない状態になるのは、時間がもったいないと思ってしまうんです。酔っ払って思考力が落ちると、ゲームや読書など、したいことができなくなってしまうので、飲む量には気をつけています」(Aさん)