老後に必要な資産寿命を延ばすには、リスクを抑えながら一定の収益が期待できるバランス型投信などが向いているが、さらに個別株への投資も選択肢となる。日本金融経済研究所代表の馬渕磨理子氏が語る。
「定年が65歳なら、100歳まで35年もある。現役の頃のようにフルコミットで働けなくなった時に、なるべくリスクの低い個別株に投資しておけば、『キャピタルゲイン(値上がり益)』が狙えるほか、『高配当』による安定的な収入(インカムゲイン)も得られる。安心した人生を送るためにも株式投資は必須と言えるのではないか」
個別株には、値動きの激しいイメージがつきまとう。そこでまず大切なのが「長期で安定的な株価上昇」が見込める銘柄を選ぶことだ。その視点で馬渕氏は、コロナ後でも期待される銘柄に注目する。
「売掛債権の保証を手がけるイー・ギャランティはコロナ禍で需要が高まりましたが、コロナ後も長期安定成長が見込める代表格です。売掛債権のボリュームが拡大しているのに加え、競合が少なく一人勝ちしやすい企業であることも特長です。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドは、コロナで入場制限して赤字転落した時期も株価が堅調だったように、日本株のなかでも長期保有の王道銘柄です。入場者数の目標をコロナ前より2割少なくして混雑を減らすことで満足度を上げつつ、客単価の目標をコロナ前より2割高く設定している。今後もますます“プレミア”がつきそうです」
ほかにも馬渕氏は、各企業でDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進むなか、デジタル上での名刺管理や請求書データ事業などを手がけるSansanも「積み上げ型のビジネスモデルで成長拡大が期待できる」とする。
こころトレード研究所所長の坂本慎太郎氏が注目するのは、アフターコロナに向けた「人手不足」「挽回生産と円安」、そして少子高齢化を支える「福祉」である。
「ITエンジニアと企業をマッチングさせる業務が主力のBranding Engineerは、慢性的なエンジニア不足が続くことを背景に業績を拡大している。米国の景気回復で『挽回生産』や『円安』による為替差益の増大が見込めるSUBARUや学習塾経営から総合的な福祉企業を目指すケア21も長期的に注目しておきたい銘柄です」
※週刊ポスト2022年9月2日号