安心して長生きするためには、資産運用もしっかりやって、資産寿命も延ばしていきたいところ。株式投資をする場合、長期保有を前提にするなら、「配当」や「株主優待」に目を向けることも重要だ。なかでも魅力的なのが、業績拡大が見通せる「高配当」「好優待」銘柄である。こころトレード研究所所長の坂本慎太郎が語る。
「予想配当利回りが6%超と際立つJTは、海外のたばこ会社を買収することで収益拡大を図り、安定したキャッシュフローを背景に高配当が続いています。また、円安による業績への寄与が見込める企業は、今後増配も期待できる。自動車部品メーカーのGMBは海外売上高比率が約9割にものぼり、見逃せない」
日本金融経済研究所代表の馬渕磨理子氏は、安定的な成長に伴う高配当の継続が期待できるとして、リース業界とインフラ建設業界に注目する。
「三菱HCキャピタルは、前期まで23期連続増配を記録するなど指折りの連続増配銘柄です。みずほリースは18期連続の増配を予定するほか、100株以上の保有でQUOカード3000円相当がもらえるため、配当と優待を合わせて利回り換算すると5%近くになります。
インフラ建設業界では、政府の『骨太の方針』にある『PPP/PFI(公共施設などの建設、維持管理、運営など)』を担うインフロニア・ホールディングス、国土強靭化銘柄の一角を占めるライト工業も安定的な高配当が見込めます」(馬渕氏)
現在、米FRB(連邦準備制度理事会)をはじめ世界中の中央銀行が金融引き締めに舵を切るなか、日本銀行だけが金融緩和を続けている。いずれ金融引き締めに転じる時のことが不安という人は、三菱UFJフィナンシャル・グループにも注目するとよいという。
「そもそも高配当であるうえ、将来的に金融引き締めに転じれば、金利上昇による利ザヤ(貸出金利と調達金利の差)の拡大で収益増も期待できます。押さえておいて損はないでしょう」(坂本氏)
今後の金利上昇を見据えると、その前に住宅ローンの駆け込み需要も想定されるため、全国保証やアルヒなども高配当が期待できるという。
長期保有のメリットは配当ばかりでなく、株主優待もある。熊本県の注文住宅メーカーであるLib Workは、配当利回りは低いものの、株主優待として年1回のQUOカードのほか、各種商品と交換できる優待ポイントが年4回もらえる。
「YouTubeチャンネルなどインターネットでの集客に力を入れて業績を拡大しており、株主優待も手厚いため、値持ちのよい銘柄と言えます」(坂本氏)
安心して持ち続けられる銘柄がどこにあるのか、長い目でじっくり選ぶことが肝要だ。
※週刊ポスト2022年9月2日号