贈った側が生きているうちに、教育資金として使い切れる額までしか節税にならないので、効果が薄くなっているのだ。
「そのため贈与する側がまだまだ元気なら、基本的には教育資金が必要になるたびに支払ってあげる都度贈与というかたちでお金を渡すのがよいでしょう。これは非課税で上限もない。例えば留学に200万円の費用がかかるなら、200万円を渡しても非課税になります」(同前)
子供や孫に資金を贈与する時に使える特例はほかにもある。もし子供が戸建てなどの購入や増改築の予定があり資金を援助するなら、住宅取得資金贈与の非課税措置を知っておきたい。
「最大1000万円までの購入資金が非課税になります。ただし原則、贈与を受けた年の翌年3月15日までに家を建てて住んでいることが条件なので、建築が遅れると非課税措置が受けられなくなります」(同前)
子や孫が進学したり、家を建てたりといったイベントが何もない場合でも、相続税対策はできる。
一番簡単なのは、生命保険への加入だ。
「生命保険の死亡保険金は、法定相続人1人につき500万円まで非課税です。税理士の立場からアドバイスすると、配偶者がお金に困っていないなら受取人を子供にしたほうが節税になるでしょう。配偶者には税額軽減がありますし、配偶者が亡くなった後にまた相続が発生するからです。選択肢の一つとして考えてみてもよいでしょう」(同前)
対象は法定相続人だけで、基本的に孫は非課税にならないので、注意したい。
お墓の生前購入が節税対策となることも押さえておきたい。
「墓石や仏壇はよほど高額なものでない限り、相続財産と見なされないので、相続税がかかりません。新しく必要なのであれば、生前に購入しておくのも一つの手でしょう」(同前)
※週刊ポスト2022年9月2日号