投資

10月から「ほぼ全員が加入可能」のiDeCo 新たに加入対象となった会社員が検討すべきこと

「課税の繰り延べ」の不満も…iDeCoの注意点

 とはいえ、iDeCoを利用するにあたっては、注意点も頭に入れておきたいところです。

・手数料
 確定拠出年金には手数料がかかります。企業型は通常、会社負担ですが、iDeCoは自腹です。しかも、運営管理機関(金融機関)によって違いもありますので比較しましょう。とはいえ、手数料以上の効果を期待できるので、納税者にiDeCoはおすすめできる制度です。

・途中引き出し
 原則60歳まで現金化できないので、目的によっては適しません。しかし、老後資金づくりという意味では、途中引き出しできないことがむしろプラスに働きます。人生いろいろありますが、亡くならない限り老後はやってきますので、老後まで資金をキープできることも魅力です。

・受け取り時課税
 60歳以降に受け取る際は、非課税でないことに対し「課税の繰り延べだ」など不満の声もありますが、一定額までは非課税ですし、それを超えても大きな優遇があります。仮に老後に課税されるほどの金額になったとしても、現役時代の税軽減効果(上記【2】)の方が、家計収支の面でも税額の面でも効果を感じる方は多いはずです。筆者も、課税の繰り延べであってもありがたいと感じているので、将来税金を納める気持ちで長年iDeCoを続けています。

・掛金上限額
 各種企業年金の有無によりiDeCo掛金月額の上限は異なり、無しなら2万円、有りなら1万2000円です。また、企業型とiDeCoを合計して前者は5万5000円、後者は2万7500円です。税軽減のメリットがあるので上限額があることはやむなしですね。

 新たに対象者が増えたiDeCo。これを機会に、これまでも対象者だったのに試していなかった人も、検討してみてはいかがでしょうか。

【プロフィール】
川部紀子(かわべ・のりこ)/FP・社労士事務所「川部商店」代表。1973年北海道占冠村生まれ。生命保険会社で勤務したのち30歳で起業。iDeCo全般とつみたてNISAについて監修した新刊『今すぐはじめられる NISAとiDeCo』(永岡書店)が発売中。約40ページにわたる漫画部分は漫画家・よしたに氏が担当し、読みやすいマネー本として注目を集める。

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