その一方で、合理的な判断基準が見えにくいケースもある。自分たちが、明らかに冷遇されて嫌な思いをしたというエピソードを明かすのは、東京都の会社員・吉田さん(仮名)だ。
「妻と2人で近所の中華料理店に行った時、ちょうど満席だったので、入り口のところで待ってたんです。すると少しして、さらに1人の男性客が来て、私たちの後ろに並びました。
そうこうしているうちに、1組のお客さんが帰って、4人卓が空いたんです。“あの席に通されるだろうな”と思っていたんだけど、なかなか店員がこっちにこない。そして、そのすぐ後に2人卓も空いた。順番的にも人数的にも私たちが4人卓で、後ろの1人の男性が2人卓だろうと思っていたら、店員は私たちを2人卓に通して、男性を4人卓に通したんです。
どうやら私の後ろに並んでいた男性は、その店の常連さんだったらしいんです。男性が通された4人席には、仕事終わりの店員さんが座って話をしていました。常連を大切にするのはわかるけど、だからといって先に並んでいたお客さんを冷遇するのはおかしいですよね。そのお店には、二度と行ってません」
店に合った人数で行くことが大切
外食事情に詳しいフリーライターの小浦大生氏は、来客グループの人数と入店する順序についてこう話す。
「お店側にとっては、1人客は1人客用の席に、4人客は4人卓に通すのが効率的です。行列ができていた場合、先に並んでいる客を優先しつつ、空いたテーブルの種類に応じて、人数に合わせて順番を前後させるというケースはあるでしょう。ただ、そうなるかもしれないということを客の側が理解していなければ、トラブルになりかねないことは確かです。お店側も事前に説明しておいたほうが安心でしょう。
また、カウンターしかない狭いお店や、ラーメン店のような1人客の利用も多いお店の場合、複数人数よりも1人のお客さんを優先しないと、席が空いている時間が長くなり、回転率も悪くなる。裏を返せば、狭いお店には、そもそもあまり多い人数では行かないほうがいいということでもあります。快適な外食のためには、同行する人数に合ったテーブル構成のお店を選ぶことが大切ということです」
せっかく長時間並び、いざ入店というタイミングでテンションが下がってしまっては、おいしいものもおいしく感じられなくなってしまう。極力そうならないためにも、まずはその店の規模と行く人数のバランスを考えるのは、意外に大切なことかもしれない。