労働者の権利が保障されている現在社会において、理不尽な理由で職が奪われることはあってはならない。もしも、昼休みに仮眠をとっていたこと理由で解雇されたならば、それは法的に問題ないのだろうか? 実際の相談に答える形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
私の勤めている会社は、ワンフロアに20名ほどの社員が机を並べています。会社の昼休みは12~13時と決まっているので、私はランチを食べた後、午後の始業時間まで机に伏して昼寝をする習慣があります。先日、それを見た上司から「会社で寝るなんて何事だ。そのような勤務態度ではクビになってもおかしくない」と怒られました。でも、昼休み中にしていることなので納得できません。昼休み中に昼寝をするのは解雇の理由になるのでしょうか。(東京都・40才・会社員)
【回答】
労働基準法上、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を労働時間中に、原則として職場で一斉に与えるのが使用者の義務です。
さらに、使用者は休憩時間を労働者の自由に利用させなければなりません(休憩時間の自由利用)。休憩時間の自由利用とは、休憩時間中は、使用者の指揮命令の下における服務による拘束を離れ、この時間を自由に利用することを意味します。疲労回復のためには労働者の自由な休憩が必要だからです。
しかし、労働義務がなくても休憩時間は、始業時間と終業時間の間ですから、いわゆる拘束時間として、完全に自由であるとまではいえず、使用者が「事業場の規律保持上必要な制約を加えることは休憩の目的を害しない限り差し支えない」と解釈されています。
その結果、休憩時間中でも事業所内における行動については、使用者の事業所等の管理権に基づく適法な規制に従う義務があることになりますが、労働者が休憩時間中も勤務場所にとどまらざるを得ない場合には、使用者の管理権に基づく労働者の行動規制も無制限ではありません。