年次有給休暇(以下「有休」)は労働者に与えられた権利であり、本来であればその理由を会社に伝える必要はない。「旅行に出かけたい」「家で寝ていたい」「病院に行く」「法事に行く」……など、どんな事情でも問題はない。もし会社にその理由を聞かれた場合、「私用」とだけ伝えればよいはずだ。にもかかわらず会社によっては、上司から「なぜ休むのか」その理由を根掘り葉掘り聞かれ、嫌味を言われるなど、取得者側が憂鬱になるケースもあるようだ。
「親の体調不良」と伝えると「何の病気?」「長くかかるの?」
有休の申請時、理由を伝える必要がある場合、「私用のため」とする人は多いだろう。それしか書きようがないというのが取得者側の本音だが、20代女性・Aさんが勤務するメーカーでは事情が異なるようだ。
「うちの会社の上司は、当たり前のように『私用って何?』とさらに突っ込んだ理由を聞いてくるんです。『会社に休みをもらうんだから理由は必要』という主義で、『理由は必要ないはずです』とは反論しづらい。プライベートの事情は関係ないと思うんですけど……。こんな有様では、有休を申請するのが億劫になるし、憂鬱になります」(Aさん)
Aさんは、有休の理由を当初「実家の親の体調不良」だとしていたが、「何の病気?」「長くかかるの?」という質問攻撃に耐えられなくなり、そのカードは“封印”。最近は「映画を見るため」「ジャニーズのコンサートに行きたいから」などと正直に答えているが、やはり上司からの質問は終わらない。
「『何の映画見るの?』『ジャニーズでもどのグループ?』『へー、今の子にはそういうのが流行っているんだね』みたいな感じで、上司が根掘り葉掘り聞いてくるうえに、いちいち自分の感想を語ります。話も長くなるし、ウンザリです」(Aさん)
休みの理由を問われることには「慣れた」と苦笑いするAさんだが、休暇明けが「特にウザい」とぼやく。
「『旅行』を理由に有給を取った時、休み明けの出社時に、『旅行、楽しかった?』『彼氏と行ったの?』『俺のおみやげは?』みたいな攻撃が……。関係性にもよると思いますけど、正直うんざりしました」(Aさん)