安倍晋三・元首相の「国葬」に、対して、批判の声が日に日に高まっている。内閣府の国葬儀事務局の担当者は、2年前に営まれた中曽根康弘・元首相の「内閣・自民党合同葬」の費用が約2億円(国と自民党が折半負担)だったことを引き合いに、「それが一つのメルクマールとなって検討されている」と説明。その後、今年度予算の予備費から「2.5億円」が支出されることとなった。だが、たった2.5億円では済みそうにない。一体、血税はいくらつぎ込まれるのか。専門家の協力のもと、検証した。【前後編の後編。前編から読む】
前編記事で検証したように、国葬の警備だけで約26億円はかかるとみられるが、さらに費用がかさむのが海外からの賓客にかかる滞在費、接遇費などだ。
外務省は海外からの弔問客について1か国3人、国際機関は1機関2人までと枠を決めて案内しているが、「小渕恵三・元総理の際にならって外国からの参列者についてわが国の費用負担はない」と説明している。
それは各国政府を代表して来日する現職の元首と夫人などの正式な弔問団を指すとみられる。相手国にとっても外交の一環だから当然だろう。
だが、「地球儀を俯瞰する外交」を掲げた安倍氏は首相在任中に81か国を訪問し、8回のG7サミットに出席して各国首脳と親交を結んだ。その中には英国のブレア元首相などいまは現役ではない元首脳がG7諸国だけで20人ほどいる。
すでに米国のオバマ元大統領、ドイツのメルケル元首相をはじめ、そうした元首経験者クラスの列席が調整されている。その費用はどうなるのか。
仮に米国の次期大統領候補ともされるトランプ前大統領が参列を望んだ場合、バイデン政権が費用を負担するとは考えにくい。警視庁出身の作家・濱嘉之氏が指摘する。
「現職であれば費用は相手国が持つにしても、個人的に国葬に参列する元首脳の滞在費用などは、表ではなんと言おうと儀礼上、日本政府が出すことになるはずです。仮にトランプ氏クラスが来日するとなれば、億単位のカネがかかるでしょう。
『即位の礼』で外務省はVIPの外国賓客等滞在関係経費に50億円を支出している。これは『饗宴の儀』の費用(4億6000万円)とは別です。金額がかさんだのは1台10万円程度とされる送迎車(推定3000万円)の手配など様々な費用が重なったからではないか」
外国のVIPは当然、飛行機はファーストクラス、宿泊先はホテルオークラ、帝国ホテル、ザ・リッツ・カールトンなどのスイートルームが用意されるという。オークラの最高級スイートの料金は1泊約300万円だ。