帝国データバンク情報統括部情報取材課の佐古真昼が指摘する。
「『ゼロゼロ融資』(保証人なし・担保なしのコロナ関連融資)である程度抑えられていた倒産の減少は、底を打ったとみています。これからは、新しく事業領域を拡大できない局面で物価高となり、経営体力の弱まった中小・零細企業の『あきらめ型倒産』が増えていくと考えられます」
倒産が増えれば、取引先の倒産で売掛金が焦げついて連鎖倒産するケースも出てくる。中小企業には、数は少ないとはいえ社員がいてその生活もある。荻原氏が言う。
「秋にはさらに値上げがあるため、物価高倒産は一層増えるでしょう。国は石油元売りに補助金を出し、輸入小麦の売り渡し価格を据え置くといった場当たり的な措置しかしていません。雇用調整助成金をバラまいたけど、結局は税金で回収しようとしている。倒産は自己責任という話になりつつあるが、企業が倒産すれば、失業者はどんどん増えることになります。そうなると物価高ではやっていけなくなります」
負のスパイラルが広がろうとしている。
※週刊ポスト2022年9月9日号