このとき導入されたターンスタイル式自動改札機は、10銭の白銅貨を運賃箱に入れると、回転する腕木を押して入場できるというものでした。遊園地などで見かける「バーを押して入る入場口」と構造が似ています。
このターンスタイル式自動改札機は、アメリカのニューヨーク地下鉄をモデルにして導入されました。ニューヨーク交通博物館には、これとそっくりのターンスタイル式自動改札機が展示されています。これは利用者が「トークン」と呼ばれるコインをあらかじめ購入し、それを運賃箱に入れると、腕木を押して入場できる構造になっていました。
運賃パターンの複雑化で、しばらく姿を消すことに
なお、東京地下鉄道で導入されたターンスタイル式自動改札機は、開業からわずか4年弱で撤去されてしまいました。路線の延伸に伴い、運賃制度が、全区間均一の均一制から、区間ごとに料金を変える区間制に変更されたからです。
運賃制度が区間制になると、自動改札機の導入が難しくなります。運賃パターンが増えてしまい、それに対応する自動改札機を開発するのが難しくなるからです。
また、東京地下鉄道以外の日本の鉄道では、すでにほとんどが区間制を導入しており、鉄道網の拡大によって運賃パターンが増え続け、自動改札機の開発がますます難しくなっていました。
このため日本の鉄道では、この後しばらく自動改札機がない時代が続きました。しかし、戦後になって大都市圏で人口が増え、鉄道利用者が増えると、駅員が手動で乗車券を確認する改札では押し寄せる人々をさばくのが難しくなりました。
そこで、冒頭で紹介した磁気式自動改札機が日本で開発されました。乗車券の裏面の磁気記録層に乗車券に関する情報を記録し、その情報を磁気式自動改札機が読み書きすることで、多くの運賃パターンに対応できるようになりました。