軽犯罪法は「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」を拘留または科料に処するとしており、騒音条例による罰則の適用がない場合に機能します。
古い裁判で、住民の陳情を受けた警察官が、拡声器による異常な高音宣伝をしないよう再三注意していたことを「公務員の制止」に当たるとして軽犯罪法の適用を認めた事例があります。
個人の生命身体の保護や公の秩序維持は警察の任務です。コンビニ客の話し声であっても深夜であれば異常な音量になりかねず、近所に迷惑もかけます。今後、夜ごとの騒音で健康被害が出かねないとすれば、放置できないはずです。夜間の騒音で悩まされているマンションのほかの住人とともに、騒音状態を録画などして被害を訴え、対策を取るように陳情することも方法です。
こうした手段でも改善せず、住人の被害も甚大であれば、コンビニの営業の自由との兼ね合いがあるので難しい事件になりますが、夜間営業の停止を求める民事裁判の申し立てが最後の方法となります。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2022年9月15日号