9月は「防災月間」、防災袋を用意し食糧備蓄や家具転倒防止などを講ずる人も多い。そんな防災意識が高い人でも、避難所生活にまで備えている人は少ないのではないか。
災害は起きて避難所に駆け込めば終わりではなく、むしろそこから長い闘いが始まる。
災害救助法では避難所の開設期間は災害発生後から7日間が基本だが、現実はどうか。たとえば、阪神・淡路大震災(1995年1月)の避難所生活者は30万人以上で、全避難所が閉鎖されたのは6か月後だった。東日本大震災(2011年3月)の場合は、約47万人が避難し、その9か月後に全避難所が閉鎖している。つまり、避難所生活は何か月にも及ぶことが少なからずある。
不安や疲れに加え、精神的にも肉体的にも極限状態で集団生活を強いられる避難所生活のストレスは想像以上だ。
内閣府調査(令和元年内閣府・防災担当『避難所の役割についての調査検討報告書』より)で「避難所では生活できない」と回答した人の多くが「プライバシーが保てない」ことを理由に挙げた。
これを避け自宅避難する場合、断水・停電にも備える必要があることを意味している。人口の多い大都市圏では、避難所の収容能力に限界があるため、むしろ否応なく自宅避難になる可能性が高い。
アウトドアと防災術に詳しい、アウトドアライフアドバイザーの寒川一さんは、こう話す。
「自宅避難は、キャンプ道具と備蓄があれば、温かい食事や暖を取ることができます。また、生活習慣病の悪化や精神状態の浮き沈みが心配な避難所生活でも、キャンプのスキルで身を守り、プライバシーを保つことも可能。災害時に役立つキャンプ道具活用法をぜひ知ってほしいです」
折しも今年は安価なキャンプ道具が増え、初心者でも手にしやすい。だからこそキャンプ防災の3達人の知恵を参考に、そのときに備えよう!