トイレ、水、火への備えがあると強い
災害はいつ起こるかわからないが、「キャンプのスキルがあればいろいろな工夫が可能になる」と三沢さんは言う。
「もしも自宅のライフラインが止まっても、キャンプで使うバーナーやライト、トイレ、食事、水などを用意しておけば慌てないで済みます。わが家では、音楽を聴くときはランタンスピーカーを使用し、非常時にトイレとして使える椅子を普段から使って、楽しみながら災害に備えられるようにしています」
どこで避難してもまず問題となるのがトイレだが……。
「キャンプ場のトイレにはトイレットペーパーがないこともあるため、念のため持参しています。その経験から自分のペーパー必要量も大体把握できるようになり、足りなくなってもキッチンペーパー+ゴミ袋で代用するなど、その場にあるもので応用する力が身につきます」(三沢さん)
野山なら穴を掘って用を足せるが、街中ではできない。
「断水で流れないトイレは家族でも共用できないので、携帯トイレは1日あたり1人5個程度は必要。うちでは熱帯魚の水槽の水でトイレを流したり、濾過して飲むこともできます。あと石油ストーブを使えば、インフラが止まっても暖房や調理に利用できて心強い」(FUKUさん)
いつまで避難生活が続くか見当がつかないケースもできれば想定しておきたい。
「私は千葉で台風19号によって被災し、断水や停電が長期間続いたことがありました。備蓄の水もありましたが、どんどん減っていくのが精神的にかなりしんどかったので、携帯浄水器で飲料水を作ることができるとわかってホッとしたのを覚えています。またどんな状況でも火が起こせるメタルマッチがあると安心度が違います」(寒川さん)
どんな場所や状況でも活用できる上記の道具があれば安心。ぜひ参考にしてほしい。
【プロフィール】
寒川一さん/アウトドアライフアドバイザー。『焚火カフェ』主宰。UPIアドバイザー。災害時に役立つアウトドアの知識を伝える啓蒙活動を展開。近著に『「サボる」防災で、生きる』(共著、主婦と生活社)などがある。
三沢真実さん/キャンプコーディネーター、ママ防災士。アウトドア事業『CAMMOC(キャンモック)』の合同代表を務め、著書に『はじめてのドライフード』(山と渓谷社)。2019年からは「SDGs防災キャンプ」を提唱し防災啓蒙活動をしている。
FUKUさん/キャンプ系YouTuber。キャンパー歴14年。キャンプギア(用品)の収集癖を生かし、YouTubeで情報を配信している。登録者数30万人超。最近は、アウトドア用品のアドバイザーや商品開発も手がける。
取材・文/北武司
※女性セブン2022年9月15日号