かつて「転職35歳限界説」というものがあった。転職を考えるなら35歳まででないと、なかなか企業は採用してくれない、という説である。しかし団塊世代の大量離脱で労働人口が減少したことに加え、雇用の流動化で転職市場が活性化したこともあって、最近は「ミドルの転職」という言葉に象徴されるように、40代・50代でも転職する人が増えている。そうした人たちの退職時の報告文が「とにかくムズムズする」というのはネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。中川氏が、ありがちな「オッサンの“卒業”報告」への違和感の正体を探った。
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2010年前後、「退職エントリー」というものがネット上で話題になりました。若者がブログに「○○を退職しました」などと長文を書くものです。基本的な構成は以下の通りです。
・私は4年間務めた○○社を退社しました。
・この4年間の経験と出会えた人は私の人生にとっての宝です。
・○○社に深く感謝します。
・決して私は○○社が嫌いだったわけではありません。
・しかし、私にとって新しいチャレンジをするのは今しかないと決断しました。
・次は××社にて、新たなる挑戦をすることになります(ないしは「独立し、仲間とともにベンチャー企業を立ち上げます」)。
・これからどのようになるかは分かりませんが、○○社での経験を活かし、さらに成長していきたいと思います。
・改めてこれまで出会った皆さんに感謝します。
若干の自己陶酔感はあるものの、若者が書くから「頑張れ!」「あなたの将来に乾杯!」などと思える面がありました。しかし、最近はFacebookを中心に40代・50代(特に男性)がこのようなことを書いている。それがとにかくムズムズするんです。
内容は上記と同じような構成なのですが、「退職」ではなくなぜか「卒業」と書きます。そして、在籍期間が長いため仕事上の思い出や出会った人も多いのでしょう。「振り返り」部分がやたらと長く、そして感傷的になります。正直、この段階でお腹いっぱいになってしまうのですが、彼らの文章にはやたらと「(笑)」や「(苦笑)」が入り、絵文字を入れて照れ隠しをする場面が目立つ。これがさらに「痛さ」を増加させるのです。