今回は、関氏が担当していた車載事業が2期連続(2022年4~6月期)で赤字になったことや株価の下落が原因での退任とも報じられている。『経済界』編集局長の関慎夫氏はこう言う。
「報道を受けて『またもや永守さんのお眼鏡に叶わなかったのか』という反応が機関投資家などから上がっていますが、社内では“ポスト永守”が出てこないことに不満よりむしろ不安の声が上がっている。永守氏自身は酒もタバコもやらずに健康に気を遣っているのでまだまだ元気ですが、今年で78歳。いつまで“絶対君主”でいられるのかと懸念する人は多い」
社内外で関氏の退任に大きな関心が集まるなか、後任COOには創業メンバーの一人である小部副会長が就いた。小部氏は永守氏と同じ職業訓練大学校の出身で後輩にあたり、「永守氏からの信頼も厚く、同社の大番頭的な人物」(経済ジャーナリスト・有森隆氏)だという。
一方で永守氏と同年代にあたる小部氏の就任は、あくまで暫定的なものだとの見方があるのは自然なことだろう。森岡氏が語る。
「日本電産と取引のある金融関係者は、『関氏が退任となれば、今後、永守さんから請われても誰も外部から日本電産には行かないでしょう』と言っていた。これから小部氏を中継ぎとしつつ、最終的には内部で永守氏のお眼鏡に叶う人物を探し、昇格させていくことになるのではないか」
永守氏自身、9月2日のオンライン会見では、本格的な後継者を社内から選ぶ方針を表明している。後継者選びはまだまだ難航しそうだ。
※週刊ポスト2022年9月16・23日号