反騰や反落を繰り返しながらも、日経平均株価は堅調な推移を続けている。米欧に利上げ継続の動きが見られるなか、世界の投資マネーはどう動くのか──投資のプロに聞くと、バブルを超える「日経平均4万円」時代が目前に迫っているという。その根拠を聞いた。
話題書『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』の著者で不動産コンサルタントの長嶋修氏はこう語る。
「米欧がインフレ抑制のために金融引き締めを続けて金利を上げる一方、日本は金融緩和、ゼロ金利が当面続く見通しです。金融引き締めは資産価格には大きなマイナスとなるので、米欧の投資家には旨味がなくなる。そうすると世界中に溢れるマネーの投資先は、“日本一択”になるに違いない」
海外から見て日本の資産がどれだけ“買いやすいか”を考えるうえで参考になる指標のひとつが、世界中のマクドナルドで買える「ビッグマック」の価格の比較だ。英経済誌『エコノミスト』がまとめた「ビッグマック指数」を見ると、日本は1990年に世界1位だったが、現在は41位(390円)まで下がった。中国(31位)や韓国(32位)はもちろん、40位のベトナム(406円)よりも安く、1位のスイス(925円)の半分以下の水準なのだ。
コロナが本格的に収束した際には、「驚くほど割安な日本に世界の観光客が押し寄せることが期待される。外国人観光客の爆買いの復活も望めるのではないか」と投資ストラテジストで武者リサーチ代表の武者陵司氏は強調する。
「さらに、海外での生産を日本にシフトする動きが高まり、設備投資や雇用の増加から好循環が起きるでしょう」
4万円超えまで「あと1年」
“割安な日本”で日本製品・観光資源が競争力を取り戻すことが予想されるなかでも、とりわけ安いまま放置されているのが「日本株」だと武者氏は続ける。
「1株当たりの純利益を株価で割った『益利回り』という指標があり、値が高いほど株価は割安とされますが、日経平均は7.8%と非常に高い(S&P500指数は5.9%)。これは、企業の利益が大きく増え続けているにもかかわらず、株価が異常に割安で放置されていることを示しています」
日本では企業の内部留保が増え、企業業績が上向いているが、それに比して株価の上がり方は弱く、それだけ余地が大きいという指摘だ。