岡山氏が指摘する。
「そうした視点を持ち、『株主優待廃止と引き換えに増配する』と発表した企業には、投資家の関心が集まりやすいと言えます。特に外国人投資家は公平な利益還元として増配を求める傾向が強い。今後は、『物言う株主』と称される外資系ファンドの影響力が強い企業が、株主優待を廃止する可能性が高いと言えそうです」
これまで実際に株主優待の縮小・廃止に踏み切った企業には、どんな傾向があるのか。
「コロナ禍で国民の日常生活が激変し、外出や外食の機会が減って行動範囲が限定的になりました。そのため、外食関連の優待を受け取っても、利用できない株主が増えています。企業側も、コロナ禍での業績悪化にともない優待廃止を打ち出す可能性がある。実際、昨年から今年にかけて、外食大手のすかいらーくHDや、『いきなり!ステーキ』を運営するペッパーフードサービスなどが、店舗で使える株主優待を縮小または廃止しています」(同前)
個人投資家にとって楽しみにひとつだった株主優待は、このまま消えてしまうのか──。
※週刊ポスト2022年9月16・23日号