国民全員が20歳になったら加入することとなる年金。その保険料の納付を拒むと、法的にどんな問題があるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
自営業です。先の参議院選挙中に自民党の茂木敏充幹事長が、テレビの討論番組において「消費税を下げるとなると、年金財源を3割カットしなければなりません」と発言。まさに暴言で、年金を国会議員が操作できるというのは驕りです。もう年金を払いたくないのですが、それだと罰を受けてしまいますか。
【回答】
年金の仕組みは複雑で、国民年金と厚生年金の二階建てになっています。
国民年金は、20歳になれば当然加入し、誰でも同じ額の保険料を納付する義務があり、同じ額の老齢基礎年金と遺族基礎年金などが支給されます。
厚生年金は、事業所に勤務する労働者が加入し、国民年金の保険料も含め、収入(報酬額)に応じた金額を労使で負担して基礎年金に、報酬分に対応する上乗せをした額で老齢厚生年金や遺族厚生年金などの支給を受けます。さらに、会社によっては企業年金が付き、三階建てになる場合もあります。
厚生年金の保険料は、事業者が従業員の負担分も納付する義務があり、その分を給料から源泉徴収するので、従業員は勝手にストップできません。もっとも、あなたが事業者であれば、従業員負担分も含めて支払いストップはありえることですが、『国税徴収法』の手続きに従って、差し押さえ等を受け、強制的に徴収されます。