それだけでなく、正当な理由もなしに支払いを拒めば、『厚生年金保険法』違反として6か月以下の懲役、又は50万円以下の罰金で処罰されます。そして、基礎年金額は物価変動率や賃金の変動に基づき、一定の基準で変更されますから(マクロ経済スライド)、そのことに不満があっても、支払いを止める正当な理由にはなりません。
政治家の発言が、この算定方法を変えて大幅に減額するという趣旨なら、不当だと思います。ただ、その変更には法律改正が必要であり、国民の代表で構成される国会の決議によって変更が立法化されると、国民は従うしかありません。
もし、あなたが個人事業主で国民年金に入っているだけの場合、保険料の支払いをストップすれば、延滞金が発生し、督促を無視した場合には、預貯金や所有不動産の差し押さえを受ける虞もあります。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年9月16・23日号