手書きの請求書を送ったら、取引先に心配された
実家が自営業、自身も独立してデザイナーをしている30代女性・Bさんは、請求書を手書きで作成した際のエピソードを面白おかしく振り返る。
「今は電子請求書OKになったのですが、それまで、請求書はPCで作成しても、プリントアウトして社判を押して、郵送で送らなければならない会社があったんです。
ある日、プリントアウトした後に、間違いに気がついた時のこと。もうノートPCの電源は切ってカバンに入れてしまっていたし、もう一度やり直すのは面倒だなと思っていたら、実家から持ってきた事務用品のなかに、手書き用の請求書伝票を見つけました。それにぱぱっと手で書いて郵送したんです」(Bさん)
すると翌日、取引先企業の担当者から電話がかかってきたという。Bさんは何か不備があったのかと思ったが、予想外の内容だった。
「『だ、大丈夫ですか? 資金繰りとか……』と、電話口でも担当者の動揺が伝わってきました。何かと思ったら、どうやらいきなり手書きの請求書を送ったことで、『PCやプリンターが壊れたけど、買うお金がないのでは?』とか、『会社の備品が差し押さえにあったのでは?』とか、いろんなことを心配されたみたいでした。手書きの方がありがたがられてもいいのに、ギョッとされたことに、時代を感じました(笑)」(Bさん)
「お母さんに書いてもらってるの?」
個人事業主の40代女性・Cさんは、取引先の企業に何か郵送する際、宛名や差出人は手書きしている。ある時、企業から思わぬ言葉を投げかけられた。
「個人事業主で、あまり郵送するものないので、社名が入った封筒は作っていないですし、宛名を書く時も手書き。会社の住所が入ったハンコも作っていないので、差出人欄も手書きです。
最近、事情を知らない取引先の担当者から、『Cさんって手書きで送ってくるよね。お母さんに書いてもらってるの?』とか言われました。PCを扱えない高齢者が事務をしている会社だと思われたみたいです(笑)。それくらい今ではアナログな書類が珍しい、ということなのかもしれません」(Cさん)
書類はPC作成が主流となった昨今、アナログ対応はいい意味でも悪い意味でも目立つのは間違いないだろう。