3つ目は、コロナによる変革です。百貨店はコロナ禍において、最も業績にダメージを受けた業種の一つです。店舗の閉店を余儀なくされ、赤字決算を避けることはできませんでした。その状況下において、今後の成長のためには思い切った変革が必要となり、DX(デジタルトランスフォーメーション)も進行しています。例えば、データ分析によるECの売上拡大、SNSを活用した認知増加、デジタル分野での新規事業などです。
数値を見てみましょう。今期予想における営業利益率を2019年度の決算と比較してみると、三越伊勢丹ホールディングスが3.4%(2019年3月決算は2.4%)、高島屋4.1%(2019年2月決算は2.8%)と収益性が改善しています。
新型コロナウイルスは百貨店業界に大きな爪痕を残したものの、半ば強制的に実行せざるを得なかった店舗閉店や人員削減が固定費の削減に繋がり、DX戦略によって収益性が改善。さらに水際対策緩和やインフレといった追い風を受けていることが、足元の好業績と株価の強さを演出しているのです。
まだ水際対策に緩和余地が残り、そして一定の円安水準が続く以上、百貨店業界にとって追い風の状況は続きそうです。
【プロフィール】
森口亮(もりぐち・まこと)/個人投資家、投資系YouTuber。1983年、埼玉県生まれ。元美容師。「Excelで決算数値を管理して、有望な成長株を中・長期的に狙う」という手法で資産を10倍に。その後も着実に資産を増やしている。著書に『1日5分の分析から月13万円を稼ぐExcel株投資』(KADOKAWA)がある。YouTube「毎日チャート分析ちゃんねる」やnote(https://note.com/morip)を日々更新中。