単なる“夏の風物詩”を脱し、秋の訪れを感じるようになっても、ブームが続くかき氷。最近では、高級なフルーツや特製ソースを使用した、1杯3000円クラスの高額メニューも珍しくない。その一方で、かき氷の愛好家たちの中にも「かき氷に何千円も払っていられない」という意見もあるようだ。高級化路線とは一線を画す“リーズナブルなかき氷”を愛する人たちに、話を聞いた。
どんなかき氷でも、結局「氷」
都内の制作会社に勤務する加賀さん(30代女性)は、「かき氷に1000円以上出すなんでありえない」と力説する。
「かき氷は結局“氷”。天然水から作ったというかき氷を食べてみたことがあるのですが、そうではないかき氷との違いがわかりませんでした……。しかも、氷のキメが細かいとか、“ふわふわ”とか言っても、最終的には溶けて“シロップ水”みたいになるのは同じ。シロップに高価な果物や材料を使っていると高額になるのでしょうが、私の場合、『かき氷』は、ガストの夏限定で発売されるもので十分です」(加賀さん)
ファミリーレストランのガストでは、夏季にかき氷を提供している。今年販売されているのは、『いちごと練乳のかき氷』(329円、税込み・以下同)、『はちみつレモンとマンゴーのかき氷』(439円)、『抹茶あずきのかき氷』(439円)。いずれも500円以下で、専門店のかき氷に比べると安い。外食産業に詳しいライターの小浦大生氏はこう話す。
「かつて高級店や専門店のかき氷は“ふわふわ”で、それ以外のお店のかき氷は昔ながらの“ガリガリ”というイメージがありましたが、最近は必ずしもそうではない。かき氷機も進化して、ファミレスやカフェチェーンのかき氷も本当にレベルが上がっています。
また、いちごミルクのような定番かき氷の人気は根強く、そういったものであれば、高いお金を出さなくても、十分においしいものがファミレスなどでも提供されています。あるいは、高級感のあるふわふわのかき氷よりも、ちょっとガリガリしていたほうが好きだという人もいるので、高級店以外のニーズも十分あるでしょう」