「急激な物価高」の正体は?
細野氏:今回きっかけとなったのは、2月下旬のロシアによるウクライナ侵攻だったんだ。世界の主要国はロシアに止めさせるように、ロシアとの売買を停止するなどして、ロシア経済が困るようにしたんだよ。ただ、ロシアはエネルギー資源が豊富な国で、ロシアとの取引を止めると、世界のエネルギー資源が減ることになり、原油などの価格が世界的に高騰することになったんだ。
この「原油価格が上がる状況」は、世界中の多くの会社にとって困ることになるんだよ。例えば、商品を送る際の輸送費が値上がりするし、商品を作る際の電気・ガス代が値上がりすることになるなど、一つ一つの作業の際にお金が多く必要になるんだ。そのため、商品を売る際には、その分のお金を上乗せする必要が出てくるんだよ。
くま:なるほど。何となく遠い国の戦争と思っていたけど、世界経済はつながっているから、エネルギー大国のロシアが戦争を始めることで日本人の家計も苦しくなる状況が生まれてしまったんだね。
細野氏:そういうことだね。しかも、日本では「円安」が急激に進む状態になっていて、9月には「1ドル=140円台」という24年ぶりの水準にまでなってしまっているんだ。この「円安」というのは、日本が海外からモノを買う際に「円の価値が安くなっている」ことだから、これまでよりも多くの「円」を支払わないと買うことができない状況になっているんだよ。
資源の乏しい日本ではエネルギーや食料などの多くを海外から買う必要があるから、ただでさえも「割高」になっている商品を、「円安」のため、さらに多くの「円」を支払わないといけない状況になっているんだ。このダブルパンチが、まさに私たちの家計を苦しめる「急激な物価高」の正体なんだよ。