コロナ禍で顕在化した孤立や孤独の問題に対応するため、政府は今年2月、NPOを中心とした「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」を発足した。だがそれだけでは充分とはいえない。長引くコロナ禍に加えて、止まらない値上げラッシュや円安で生活はますます苦しくなる。政府は住民税非課税世帯に5万円を給付することを決めたが、苦しいなか税金を納める多くの世帯にメリットはない。
苦境を乗り越えるために知っておきたいのが、「申請や相談をすればもらえるお金」だ。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんが語る。
「先行き不透明な社会のなかで、頼りになるのはお金という先立つものです。実は国や自治体には、あまり知られていないものを含め、セーフティーネットとして、申請や相談をすればお金がもらえる制度がたくさんあります。そのなかには、新型コロナで困窮した人のための新制度や、従来の制度が拡充されたものも少なくない。まずはどんな制度があるのかを知ることが大切です」
意外と見落としがちなのが自治体の独自の制度だ。たとえば、秋田県男鹿市の「都市ガス料金割引制度」では、ガスの配管工事を伴う新築やリフォームで都市ガスを選択すれば、適用開始から3年間、ガスの従量料金が5%割引となる。
石川県志賀町の「移住定住促進住まいづくり奨励金」では、新築住宅を建てることを条件に、単身移住に最大90万円、家族移住に最大170万円を支給する。
熊本県南関町の「就職激励金」では、採用日から1か月以内に同町に転入し、1年以上定住するなどの条件を満たし、正社員として採用された新卒者に5万円を交付する。前出・風呂内さんはこう話す。
「ほかにも、クマの駆除を行うとお金をもらえたり、3人乗り自転車を購入するときや婚活パーティーを主催したら補助金が出ることもある。高齢者や障がい者はタクシーの補助金、免許を返納した人は運転経歴書を掲示すればタクシーの割引がある自治体もあります」
ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんが続ける。
「最近では、冬にかけて燃料費が上がってくるのでそれに対する給付金があります。宮城県仙台市は住民税の非課税世帯や新型コロナの影響で家計が悪化した世帯を対象に、灯油の購入費として1世帯あたり5000円を支給すると発表しました。
このように自治体の補助金はバリエーションが豊富で、広報紙などに書かれています。しかし、なかなか気づきにくく、制度を知らないまま使わないケースが目立ちます。まずは、お住まいの自治体のホームページをチェックし、市民生活課など窓口に相談してください」
苦境に追い込まれたら、ためらうことなく利用してほしい。
※女性セブン2022年9月29日・10月6日号