「吸水ショーツ」などフェムテック商品への期待
都内の別の私立大学でフェミニズムの授業を担当している女性教員・Bさん(40代)は、「生理の貧困」問題の対策として、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた「フェムテック」という言葉に注目する。
「最近では“女性の健康の課題をテクノロジーで解決する製品やサービス”を意味する『フェムテック』商品が続々と誕生しています。たとえば使い捨ての生理用のナプキンでなく、海外では再利用可能な『月経カップ』なども広く利用されています。
また、通常のサニタリーショーツとは異なり下着そのものが吸水してくれる吸水ショーツもあります。吸水ショーツをうまく利用すれば、ナプキンの使用枚数を減らすことが可能です。高価なものもありますが、手軽に購入できるファストファッションの製品などは、2000円以下で購入でき、洗えば何度も使えます。こうした商品がもっと普及していくことを期待しています」(Bさん)
加えて、心理的な面からのサポートも重要だと続ける。
「現在では、企業の生理休暇も認められていますが、まだまだ『生理休暇を取りづらい。申し訳ない』と思う女性もいるはずです。生理は身体的な負担であるとともに、PMS(月経前症候群)の症状により精神的な負担もかかります。家族や友人、学校や職場などで、『生理』を含む女性のヘルスケアについて、もっと気軽に話し合える空気づくりが大事でしょう」(Bさん)
実際に、日本でも小中学校のトイレで生理用品を無償提供する動きが見られる。兵庫県加古川教育委員会は、この9月から小中学校のトイレに生理用品を取り付けて、女子児童や生徒が無料で使える取り組みをスタートさせた。また熊本県の教育委員会も、10月初旬から県立の中学、高校、特別支援学校など複数の場所で生理用品を非対面式で提供すると明かしている。
個人的な悩みや苦しみとして表面化しづらかった「生理の貧困」問題だが、様々な角度から解決に向けたアプローチが広がっていくことを期待したい。