日米の金利差が拡大する中、当面は円安基調が続くとみられている。急ピッチで進んだ円安は、すでに物価高へとつながり、家計にも大きな影響を及ぼしている。一方で、円安がメリットにつながる企業の株に投資すれば、家計へのダメージを抑えることができる可能性がある。
なかでも自動車をはじめ輸出関連企業では、海外で稼いだ収益を円に戻す際、円安が進むほど為替差益が増える。そうした「円安メリット」は海外売上高比率が高い銘柄ほど大きくなってくる。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏はこう言う。
「浮体式の原油生産貯蔵設備を建造し、世界の石油会社にリースする三井海洋開発は、海外売上高比率が100%なので、円安メリットをフルに享受できる。ミニショベル主体で海外売上高比率が98%の竹内製作所、小型モーターの世界シェア5割以上を持っているマブチモーターなども円安メリットの大きい銘柄といえます」
脱炭素社会に向けた世界的な流れが高まるなか、EV(電気自動車)シフトなど環境対応を進める自動車関連は、円安が売り上げをさらに後押しする。こころトレード研究所所長の坂本慎太郎氏が語る。
「米国の売上高比率が高いSUBARUは為替感応度が高い。日産ルノー系列でEVに強みを持つ三菱自動車、欧州の売上高比率が高いマツダも、円安が追い風となるのは間違いないでしょう」
圧倒的な技術力で高い世界シェアを持つ「世界と戦える日本企業」は、円安で価格競争力も高まり、ますます注目だという。
そんな視点から坂本氏と戸松氏は、車載向けなどのアルミ電解コンデンサーで世界シェア首位を誇る日本ケミコン、スポーツ用自転車の部品で世界シェア首位のシマノ、スマホや自動車向けの小型旋盤の製造を手がけるツガミの3社を挙げた。
「日本ケミコンはEV向けに販売拡大を続けており、今後の株価上昇が期待されます」(坂本氏)
「シマノは釣り具も手がけ、世界的な健康志向の高まりから自転車部品販売も堅調で好業績です。ツガミは中国を中心に海外売上高比率は91%に上るため円安の恩恵を受ける銘柄でしょう」(戸松氏)