離婚時に夫婦間で約束事を決めていても、それが守られないケースもある。きちんと約束を守ってもらうためにはどうすればよいのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
春に離婚し、10歳になるひとり娘の親権は前妻が持っています。問題は裁判等が面倒だったので、離婚に関する取り決めを口約束で済ませてしまったこと。娘との面会も月1回と決めていたのに、彼女は約束を反故にしてばかり。こういう場合、きちんと履行されるよう約束事を文書化したほうがよいですか。
【回答】
民法では離婚の際に、子との面会や交流などについて協議で定めることを求めていますが、その場合、子の利益を最も優先して考慮しなければならないとしています。
面会交流は本来、子が親から愛情を持って躾を受けるためにも必要なことであり、権利といっても、単に親の満足のためのものではなく、より正確には「子供の監護のために適正な措置を求める権利」というべきです。
協議離婚において面会の約束をすることは有意義ですが、約束を履行させるためには何事によらず、口頭だけではなく、文書化することが大切です。ただし、単に面会をできるだけでは、当たり前すぎるので、あまり意味はありません。
前妻との間で、子供のためになる面会の方法を十分に協議し、可能であれば、後日疑義を生じさせないため、例えば、毎月の第1土曜日正午から、翌日曜日正午までというように、面会の日時や面会時間を特定し、子供の受け渡しの場所や子供の病気などの緊急の場合の例外的な対処方法などについても、より具体的に確定しておくのがよいと思います。