中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

実家が苦手な人は“旅行以上・帰省未満”の居心地のいい場所を見つけよう

元々は馴染みのなかった土地で「おかえり」と言ってもらえる幸せ(写真:イメージマート)

元々は馴染みのなかった土地で「おかえり」と言ってもらえる幸せ(写真:イメージマート)

 2020年11月に、東京から佐賀県唐津市に移住したネットニュース編集者の中川淳一郎氏。唐津で新しい人間関係を築くと同時に、かつての知り合いや、ネットで知り合った人たちが次々と唐津を訪れてくれるようになった。なかには唐津を気に入って、何度も訪れてくれるようになった人たちもいて、彼ら/彼女たちの姿を見ながら、「自宅でも実家でもない“旅行以上・帰省未満の居心地のいい場所”があれば、人生は豊かになるのではないか」と考えるようになったという。中川氏がそうした考えを持つようになった経緯を綴る。

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 唐津に移住して約2年が経ちますが、本当にたくさんの人が県外から遊びに来てくれました。元々の知り合いで7回来てくれた人もいますし、ツイッターで知り合った人で5回来てくれた人もいます。そして「また来ます!」と言ってくれるわけですね。そんなこんなで、累計300人ほどの人が、唐津に遊びに来てくれました(1人の人が3回来た場合は「3人」とカウント)。一方、私は唐津で暮らすようになってから、佐賀県内の知り合いもどんどん増えていき、そういった人々を県外から来た人々に紹介します。

 唐津に移住する前も、大阪の友人や、私の読者だという名古屋在住の人が東京まで来てくれて、一緒にお酒を飲んだりすることはありました。しかしそれは年に1人か2人程度。それが、唐津に来てからは、毎月10人以上が来てくれる状況が続いています。

 一体この現象は何なのでしょうか? 「わざわざ私に会いに旅行に来てくれる人が続出する」というのは、私にとっても初めての体験です。そして、そういった人々を唐津や佐賀の知人に紹介し、さらに馴染みの飲み屋へ連れて行くと、ますます唐津という街を好きになってくれる。

 そうなってくると、私のところにも、「○○さんの家にまた行きたいので連絡しておいてもらえますか?」や「居酒屋××に行って女将さんに会いたい」などというオファーが来るようになります。かくして再訪の日程が決まるのですが、○○さんや女将さんは「あら、また来たの」的な表情を浮かべながら、笑顔で「おかえり」「よう戻りましたね」などと言ってくれる。

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