馴染みになった場所で「おかえり」
埼玉在住で東京で仕事をしているある男性は、実家から「コロナが怖いからお前は帰って来るな」と言われているようです。唐津には2022年に5回来てくれたのですが、「実家に帰れないから、また唐津に来ちゃいました(笑)」と言います。唐津の人は彼のことを「ヤマちゃん」と呼び、一緒にクルーザーに乗って楽しんだりしています。
このヤマちゃんの話からしても、実家だからといって、必ずしもホッとできる場所とは限らないということがわかります。実家に帰省したら、親に「朝は私達に合わせて早く起きろ」と言われて生活習慣を崩されたり、ここぞとばかりに力仕事や芝刈りなどをさせられるかもしれない(もちろん、そんな親孝行をするために帰省する人もいるでしょうけど)。また、たとえ親とは折り合いが悪くなくても、実家の近くに、そりの合わない親戚が近所に住んでいたりして、顔を合わせたくない、なんて人もいるかもしれません。
そんな実家が苦手な人たちにとって、数日間のびのび過ごす場所としては、実家以外の方が安心できるし、気の合う人と一緒にいられることでしょう。とはいえ、一般的な旅行では、その土地の名所的な神社仏閣を訪れたり、名物料理を食べたりしますが、地元の人とコミュニケーションを取る機会は少ない。
今、私の周囲では、「旅行と帰省の間くらいの場所」に来た人々が、特に観光をするわけでもなく、地元で馴染みとなった場所へ行き、「おかえり」と言われるようになっている。当然、初めて来た時は唐津城や鏡山展望台といった観光名所にも足を運びますが、2回目以降は、基本的には昼間はホテルの部屋で仕事をしたり、知人の家でBBQしたりしている。それで夜になると、馴染みの飲み屋へ顔を出すという感じです。都会の生活や人間関係に疲れた人から、「唐津に来るとホッとする」といった声も聞きます。皆さんもそういった場所を作ってみてはいかがでしょうか。