「2019年の財政検証の時から出ていたオプションではあるが、このタイミングで具体的な話が出てくるのは、昨年の衆院選と今年の参院選を終えて2025年夏の参院選まで大きな国政選挙がないという“黄金の3年間”を政権が手に入れたこととも無縁ではないでしょう。選挙の前に負担増の話はしたくないということで、選挙後になってから2024年財政検証に向けた具体案が表面化したのではないか。
前回の財政検証のオプション試算は、現行では70歳までとなっている厚生年金の加入年齢上限を75歳まで延ばす案も入っている。今後、そうしたさらなる負担増の制度変更が具体化しないか、注視したいところです」(同前)
岸田政権はこれまでにも、国民年金の減額を抑えるために厚生年金で穴埋めする案を進めようとするなど、「年金改悪」の動きが次々と表面化している。手に入れたはずの“黄金の3年間”は旧統一教会問題などによる支持率急落で風前の灯火だが、こうした年金問題が国民の怒りを買えば、政権にとっては致命傷となるのではないか。(了)