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隠し子の権利を尊重し冷静な話し合いを
弁護士の齋藤健博さんが解説する。
「今回のケースでは、元妻が父親との婚姻期間中に出産をしているので、いまの家族にとっては、まったく知らない子であっても、法律上は子として扱われます。ですから、相続権を有することになるのです。感情的になるのはわかりますが、相手の権利を尊重して、冷静に話し合う必要があります」(齋藤さん・以下同)
そのためには弁護士などの第三者を早急に立てるのがよい。齋藤さんの経験上、隠し子が葬儀に来て場を荒らそうとした場合、「お車代」として、その場でいくらか包んで渡すと、気持ちがおさまり、相続でもめづらくなるという。
「もめ続けると、訴訟を起こされる可能性もあります」
この場合、マンションは母親に渡し、3000万円の預貯金を相続人で分けるのがいい着地点だという。分配は法律にのっとり、半分の1500万円を母に、残りを子供たちで分けることになる。
「諍いを続けていると、隠し子がマンションの権利にまで目をつけ、よこせと言ってくる可能性も。そうなると母親の住居が奪われることにもなりかねないので、お金で解決できるよう交渉を進めるといいでしょう」
【弁護士プロフィール】
齋藤健博さん/銀座さいとう法律事務所代表。主に「不倫」「浮気」「離婚」「男女問題」「セクハラ問題」を中心に、債権回収、企業法務・顧問弁護士、詐欺被害・消費者被害、犯罪・刑事事件、不動産・建築、借金・債務整理などの法律業務全般を取り扱う。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2022年11月3日号