個人でも動画配信が手軽になった昨今、趣味の延長でYouTuberを目指す人も少なくない。では、自分の趣味をYouTubeで発信する場合、その経費はどこまで認められるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
会社員です。来月から、念願だった趣味の鉄道模型をメインにしたYouTubeチャンネルを開設します。ひょっとすると、うまくいけば、趣味を楽しみつつ、収益があるかもしれません。そこでお訊ねしたいのですが、購入した、または購入予定の高価な鉄道模型やジオラマなどは、必要経費として落ちますか。
【回答】
YouTubeチャンネルで、広告料収入が入れば、所得になります。給与が2000万円を超えなければ、確定申告は不要ですが、YouTubeの広告料収入が増えて所定の経費を控除した所得が20万円を超えると、確定申告が必要になります。
その場合、広告料収入が所得税法の定めるどの所得に当たるかによって、申告や所得の計算方法などが違ってきます。
YouTuber活動のための人的物的設備があり、宣伝広告するなど営利性、継続性及び、独立性の観点から、事業として見られる場合には事業所得ですが、趣味を楽しみながらの収益期待であれば、これには当たりません。
他に、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の労務の対価としての性質がない所得」である一時所得があります。
例えば、競馬の払戻金は継続的に営利目的で買う以外は、不労所得として一時所得です。動画を作り、YouTubeで配信するという作業をして継続的に広告料収入を稼ぐのなら、一時所得にはなりません。特定の種類に含まれない所得として雑所得になります。
所得は収入から経費を控除して求めます。動画作成のための機材等、収入を生むために必要な設備の購入代金や、あるいはその償却額は経費となります。