スマートフォンがイノベーションを牽引する時代は終わったのだろうか。市場調査会社Canalysが10月18日に発表した7-9月期のスマホ出荷台数(グローバル市場)は前年同期比9%減で、4半期ベースでは2014年7-9月期以来となる大きな減少率となった。
スマホ出荷不振の主な理由についてCanalysは、消費支出の減少、経済見通しの不透明さなどと分析している。しかし、出荷台数の伸び悩みは短期的な現象ではない。コロナ禍が始まる直前の2019年10-12月期をピークに明らかに頭打ちとなっている。
コロナ禍による急激な需要の低迷や、それによってもたらされた半導体不足をはじめとしたサプライチェーンの混乱とその回復の遅れといった特殊要因があるのは確かだ。しかしそれ以上に影響が大きいのは、普及期が過ぎ去ってしまったことではなかろうか。
アップルの市場シェアは18%で前年同期と比べ3ポイント上昇、サムソンに次いで第2位の座を確保している。しかし、足元の状況は良くないようで、9月16日に発売を開始したiPhone 14シリーズは不振に陥っている。中でも3週間ほど販売開始の遅れたiPhone 14 Plus(iPhone 14よりもサイズの一回り大きい製品)は特に厳しいようだ。
当然、アップルに部品を供給するメーカーの業績見通しは悪化、株価は下落している。たとえば中国を代表するアップル関連企業でプリント基板などを手掛ける立訊精密工業(002475)の株価は、8月26日に付けた高値40.20元をピークに下落、10月11日には安値27.40元まで3割強下げている。足元では小さなリバウンドを挟んで再度下落、24日の終値は27.60元である。
もっとも、部品メーカーも、ただ成長鈍化を放置し、何もしていないわけではない。彼らは次の収益の柱を求め積極的に事業展開を進めている。こうした中で現在、各社が最も力を入れているのは新エネルギー自動車向けの部品である。